転機

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「殴られてなに笑ってんだよ…ッ。そんなんだから馬鹿にされるんだぞッ」 「え?あはは、なんかごめん」 「っ、だから…!」 詰め寄ろうとする奏一だったが、その前に騒ぎに駆けつけた担任の怒声が教室に響き渡る。 そして「他クラスのやつがなんでいる」と叱られている真琴を見遣り、奏一は舌打ちを漏らした。 なんなんだ、あいつは。 わざわざ殴られて、剰えヘラヘラしやがって。 興味を持った俺が馬鹿だった。 ああいうプライドも何もないやつ、俺は嫌いだ。 苛々する。 ひどく苛々する。 担任に名を呼ばれ、奏一は苛立ちのまま「あぁッ?」とドスの効いた返事をした。
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