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この目だ。
この真っ直ぐな視線に、此方から逸らすことができなくなる。
静かに見つめてくる御厨の目に、何故だか酷く緊張して、背中を一筋の汗が伝った。
「家、帰りたくねぇの?」
「っ、……は?」
なんで、それを…。
驚愕し固まっていると、その瞳がすっと逸らされる。
俺は無意識に息を吐いていた。
「お前の目、似てるからさ」
「え?」
似てるって、誰に?
「なら、うち来る?」
「っ、は?」
「帰りたくないんだろ?なら決まり!ほら、行こ!」
「な、おい待てって…!」
強引に腕を引かれ、御厨が駆け出す。
なんだこいつ、自由すぎるだろ。
ほんとに猫みたいな奔放さについて行けない。
その背中で使い古されたギターケースが揺れていた。
瞬間、あの日奏でられたメロディが蘇ってくる。
それだけで赤く染まった夕日も、頬を撫でる冷たい風も、ほのかな秋の香りも思い出されていった。
あの時、こいつの歌声は、優しさや暖かさで満ちていた。
しかし一方で……
どこか、深い寂しさを感じた気がした。
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