ケース1️⃣ 前世覚醒

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貴志は、小さく呟いた。 「きっと、見えるはずだ。」 走り去っていく、白い軽自動車。そのナンバープレートは・・・・。 「見えるはず。」 どんどん遠ざかっていく、軽自動車。 「・・・⁈」 ナンバーは・・・・。 「◯◯××× は△△-◇◇ ‼︎ 見えた‼︎」 貴志が、叫んだ。 叶恵が話しかける。 「貴志。前世の映像の中で、犯人のナンバーが見えたの?」 「見えた! 見えたよ!」 それを聞いて、杉下親子と、篠崎 礼子も喜びの声をあげた。その途端、フラリと目眩が起きて、その場にうつ伏せる貴志。 「貴志。大丈夫かい?」 すぐに駆け寄る叶恵。心配そうに見つめる一同。 しかし貴志はすぐに立ち上がり、力強く言い放つ。 「よし! これで、俺が見たナンバーで、住所などを割り出し、犯人を突き止める事が出来るぞ!」 と、その時、杉下 健司が言う。 「それじゃ、ダメだ。」 「え? 何がダメなんですか?」 貴志は、思わぬ発言に聞き返した。健司が説明する。 「確かに、前までは自動車のナンバーさえ分かれば、陸運事務所などで簡単に持ち主が分かる仕組みでした。」 一同は黙って話を聞く。 「車検証には色々な詳細が記載されていると思いますが。その車検証に書かれている内容をそのまま写した『登録事項等証明書』という書類を陸運事務所で発行できるのですが、かつては、それが自動車のナンバーだけで請求する事が出来ました。」 勇斗も、静かに話を聞いている。 「しかし、個人情報保護の観点から制度が変わり、2007年11月19日以降は、国土交通省により、登録事項等証明書を発行する場合、自動車のナンバーに加え、『車台番号』が分からないと手続きが行えなくなったのです。」 「えっ〜⁈ そんなぁ。」 すぐに貴志が声を上げた。それでも諦めない貴志は、すぐに健司に向かって食い下がる。 「それじゃあ、その『車台番号』って数字も、手に入れましょう!」 杉下 健司は、首を横に振った。 「いや、無理だよ。『車台番号』というのは、どの車にもあって、自動車メーカーが車の製造時に取り付けるシリアルナンバーで、これがない車は車検を受ける事も出来ない。その『車台番号』がある位置は、車種によって異なるんだが、例えばボンネット内やシート下などに打刻したり、金属プレートを貼るなどして記載しているものなんだよ。」 貴志は再び、顔を蒼ざめて言う。 「車のボンネット内か、シートの下など、・・・って、それじゃあ結局、その犯人の車がないと無理じゃないですか?」
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