ケース1️⃣ 前世覚醒

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カップルは、コクリと頷く。 そして女子高生は側にあった小さな丸椅子に腰掛け、男子高生は端の棚の雑誌をパラパラとめくる。 それから男子高生が、そっと女子高生の耳元に囁いた。 「ここのタコ焼き、美味しいの?」 女子高生も、蚊の羽音よりも小さな声で返した。 「美味しいって噂だよ。」 それを聞いても男子高生は、不信な顔をする。更に小声が続いた。 「でも、何か愛想がないじゃん。他に美味しいタコ焼き屋の店って、あるよね。」 女子高生が、続けて囁く。 「この店が良かったの。」 その時カップルは、何やら気配を感じたので振り返ってみると、カウンターの中から、こちらをじっと見ている店主と目があった。 カップルは、慌てて苦笑いで返す。 再び店内は、タコ焼きが調理される音だけが続いた。 それから、10分も経たないうちに、 「はい、タコ焼きできたよ〜」 と、威勢の良い店主の声で、カップルはまたピリリとした。 出来上がったタコ焼きを女子高生が受け取り、側にいた男子高生へ渡す。 「じゃあ、揚げタコ焼き2つだから、ちょうど1000円ね!」 と金額を言われて、すぐさま女子高生がお金を支払った。お金を受け取る店主。 「ありがとうね!また、よろしく〜。」 まるで、男の店長よろしく、ハキハキとした挨拶でお礼を言う店主のおばさん。 男子高生は、タコ焼きの袋を手に下げて、早々と店を出ていこうとしていた。 カウンター越しから、似合わない笑顔で見送る店主。 何故か、後に続いて店から出て来ようとしていない女子高生に気が付き、男子高生が入口の外から振り返っていた。 女子高生は、緊張した面持ちで、まだカウンターの前に立ち尽くしている。 急いで連れ出そうと、男子高生が店内に戻ろうとした時、女子高生が口を開いた。 「あ、あの、・・占ってもらっても良いですか?」 何を言いだすのかと、呆気にとられる男子高生。 その時、店主おばさんの目が、ギラリと鋭く光った。 「どこかで、聞いてきたのかい?」
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