ケース1️⃣ 前世覚醒

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そして、ある高校の体育館。 フワッと宙を舞うバスケットボール。 突然、それを長くしなやかな指が掴んだかと思うと、勢いよくバスケットゴールへ叩きこんだ。 そのバスケットボールをまた手にすると、器用に手の平で転がし、こちらを振り返る男がいる。 バスケットのゴールがそのまま、頭につくかと思う程の高身長だ。その男は、シュートを見ていた、もう一人の男に話しかける。 「おい、貴志。今の見てたか?」 それをやや隅のほうで見ていた男が、嫌そうな顔で答えた。 「見てたよ。」 この男も、高身長だった。 名前は、秋原 貴志(あきはら たかし)。 この高校の生徒で、高校2年生。 再び、バスケットボールを持っていた男が、話しかける。 「なあ、お前も一緒に、バスケやらないか?」 この男の名前は、森山 昌也(もりやま まさや)。 同じ高校2年の同級生で、友人である。 誘われた貴志は、全くその気がない素振りをしていると、 「よっ。」 という掛け声とともに、勢いよくバスケットボールが投げられ、見事に貴志の顔に直撃するのだった。 ゴスっ‼︎ 「痛ってぇ‼︎」 貴志は声を上げながら、その場によろめいた。 慌てて申し訳なさそうにしながら、昌也が駆け寄ってくる。 「悪い、悪い。すまん。」 貴志は自分の顔を押さえ、昌也を睨みつけた。 「何するんだよ‼︎」 昌也は、謝り続ける。 「本当に、すまん。まさか本当に取れないとは。」 貴志は、痛みと怒りを合わせた気持ちを露わにした。 「だから言ってるだろ!俺は、お前みたいにスポーツなんて出来ない、運動音痴なんだから。」 昌也は、ボールが当たった部分に手を当てながら、心配した様子で見守る。 「本当に、悪かった。」
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