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貴志と、昌也。並んで歩いて帰る二人。
その途中も、貴志はずっと考えていた。
体育館で感じた、アレは・・・・。
確か昔にも同じ感覚を。
それは肉眼的に見えた、という感覚ではなく、明らかに脳に直接画像が浮かんだ、という感じだった。本当に一瞬だったから、何だったかは分からない。
そのうち、申し訳なさそうにしている昌也が話しかけてくる。
「なあ貴志。お前も、それだけ身長が高いんだから、もったいないと思って、バスケ部に誘ったんだ。」
貴志は、やる気ない表情で答えた。
「でも、俺はスポーツ苦手だし。子供の頃から、運動なんて、ろくにした事もないんだぞ。」
昌也は、渋い顔をして貴志を見た。
「お前今、身長どれぐらいだ?」
貴志は、少し考える仕草をしながら、
「えっと、確か179cmぐらいかな。」
と答える。
すぐに、今度は貴志が聞き返した。
「昌也。お前は身長いくつなんだよ。」
返答する昌也。
「俺は、184cmだ。これでも、バスケやってる中じゃ、そんなに大きいほうじゃないんだけど。」
それを聞いて貴志が立ち止まり、文句を言う。
「あのな〜、お前の身長で大きいほうじゃないなら、俺なんか全くもって、バスケに通用する身長じゃないだろ?」
昌也が、静止するように反論した。
「まあ、そうかもしれないけど。バスケって身長でやるもんじゃないし。」
貴志は、再び歩き始めた。
「じゃあ、何で俺をバスケ部に誘うんだよ。」
昌也も後を追うように、歩きだす。
「ハハハ。俺はな。友達のお前と一緒に、バスケがしたいだけなんだよ。」
貴志は、皮肉そうに昌也のほうを見返した。
「それ何? 友情みたいなオチにしたいのか?」
昌也は、急にケラケラと愉快に笑いだした。
「いや、違うぞ!これは深い愛情だ!」
貴志が、嫌そうに返答する。
「何だ、それ!お前オカマか?」
昌也は更に愉快そうにしながら、突然貴志と肩を組んで歩く。
「だって俺たち、もしかしたら前世は恋人同士だったかもしれないじゃん!」
貴志は、素早く組まれた肩をほどいて、
「何言ってるんだよ? 前世なんて、あるわけないだろ!」
足早に先へ歩きだした。
「おい、待てよ、貴志!」
急いで後を追う昌也。
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