君が死ぬまであと5分

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 もう勘弁してくれ、頭がおかしくなりそうだ。  そう訴えたことがある。すると看守は、冷たい声で答えた。 「被害者の家族は、お前の何万倍も苦しんでいる」  俺は理解した。これは更生プログラムであると同時に、罰でもあるのだと。  令和元年7月14日日曜日、午前11時12分。  俺は真夏のアスファルトを蹴った。  急げ! 急げ! あと5分しかない!  俺が救けなきゃ、仁花(にか)は死んでしまう!  君を殺させない! 俺に殺させない! 絶対に、絶対に!!  君が死ぬまであと5分。  俺は死ぬまで、あと5分を走り続ける。 【了】
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