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君が死ぬまであと5分。
令和元年7月14日日曜日、午前11時12分。俺は炎天下の住宅地を、全速力で走った。
足がもつれる。息が切れる。全身が鉛のように重く、口の中には血の味がする。それでも、君を救いたい一心で、俺は走り続けた。
道路には人がほとんどいない。その理由を、俺は知っている。翌月曜日が祝日で、三連休の中日。天気予報は快晴で、旅行に出た家族も多かった。そしてこの日は、年内に閉園する遊園地が地元住民を無料招待していた。フリーマーケットやヒーローショーなど多種多様なイベントが催され、園内はたいへんな賑わいだったらしい。
それに便乗して儲けようと考えたのが、テキ屋だけであればよかったのだが。
ゴーストタウンのように静かだった近隣の住宅地では、空き巣の被害が続出したのだ。
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