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仮病
先週仮病を使って休んだことが同僚にバレた。
内緒にしてくれるようお願いしたが、正義感の強い彼は上司に報告してしまった。
「部長! 川上のやつ、先週仮病で休んだんですよ!」
「それは本当か?」
部長が鋭い目付きで俺を見た。
視線が何故か上に向けられる。
怒りに満ちた目が憐憫の眼差しへと変わる。
「お前も苦労してるんだな」
肩をポンポンと叩かれた俺はおとがめなしのかわりに大切な何かを失った気がした。
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