第五章 四.

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第五章 四.

 汐吉ら一行は、沙雪のスムーズなリードのおかげもあり、なんとか亀戸天神社に着こうとしていた。  信号を渡ってあと少し、というところで、男性が正面から四人に向かって走ってくる。 「ん?」  先に気付いたのは汐吉だった。  金髪に黒く見える瞳。 ―もしかして。  彼は“藤枝若葉”かもしれない。やたらと急いでいるようで、結構なスピードでこちらへ向かってきている。 「あ、店長?!」  汐吉が走ってくる青年を通行止めするかのように前に立つ。何をするのかと慌てる紅乃をよそに、彼は動こうとしない。 「っ、なんですか」  足を止めた金髪の青年が言う。その表情は焦っていた。
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