第五章 四.

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「アンタ、藤枝若葉?」 「え? あ、はい……」 「俺たちはアンタを探しに来たんだ。でも、それは後で話すか」 「そうだね」  汐吉の言葉に、蒼早もうなずく。沙雪もようやく見えた。間違いなく、死気が憑いている。 「宮司さんの名前は?」 「マツさ……、松ヶ枝寿紀といいます」 「分かった。ちなみに、アンタには見えているのか? 黒い煙」 「え? あれって、見えていいものなんですか?」  その答えで、彼がウラガミであることが確定した。 「……、てことは、ウラガミだな」 「ウラガミ?」 「そのことについては後ほど。今は、あの人を止めなければ」  沙雪が眼鏡を指先で押しあげながら、鋭い目つきで二人の会話に入る。  汐吉も蒼早もうなずいた。紅乃と若葉は置いていかれている状況である。 「紅乃、真菅に電話をしろ。妖対策課が亀戸天神社にいるといえば、アイツならだいたい察してくれる」 「わ、わかりました!」
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