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第六章 二.
「まず、俺の名前は喰代汐吉という。北区で喫茶店をしている」
「そうなんですね」
「ああ。で、こっちが松浪沙雪さん、こっちが鹿占蒼早くん。この子はうちの従業員で、和氣紅乃」
沙雪と紅乃は、若葉と目を合わせると頭を下げる。蒼早は、立ったまま視線を一度送るのみで、あとは沙雪のほうを見ていた。
「東京十社それぞれに能力を持つウラガミ様というのが存在する。松浪さんが芝大神宮、蒼早が白山神社のウラガミ様で、俺が……王子神社のウラガミ。そのウラガミ様十人で成り立つのがヒナゲシ会」
若葉はふむふむと素直に聞いている。が、あれ、と汐吉の顔を見た。
「じゃあ、和氣さん……以外のあなた方が、ヒナゲシ会の人?」
「あ、いいえ。ヒナゲシ会にいるのは、私と蒼早くんだけです。喰代さんは、まだヒナゲシ会には入っていないの」
「……保留中だ。でも、“浄化”をしないと解決できないから、今日みたいに同行することもある」
やはりヒナゲシ会に所属するべきか、と初めて迷いが生まれた。
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