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「死ぬに気力とかいて、死気。黒い煙で……、それに憑りつかれるというか、支配されると正常じゃなくなる。暴走するんだ。そういう人が起こす事件を解決するのがヒナゲシ会の役目。警視庁に新設された、妖対策課っていうところに所属することになる」
彼は汐吉同様、淡々としながらも、説得力のあるワードを次々と出す。
「さっき、松ヶ枝さんという人もそうなりかけていた。それを僕たちウラガミが鎮めたってこと」
「ウラガミが……」
若葉が考え込むように一言発する。沙雪は畳みかけようとして口を開いた。
「藤枝さん、ライブをしてらっしゃるんですよね? 歌われる方って耳がいいと思うんですけど」
「入らない」
「へ?」
亀戸天神社のウラガミ様の能力は“傾聴”。だから相性はぴったりだ、といおうとした沙雪だが、予想していなかった返事にかたまってしまう。
「ヒナゲシ会には入れません。ぼくはぼくで、やることがたくさんあるので」
「え、えっ」
沙雪は分かりやすくうろたえる。
「では」
そういって若葉が帰ろうとしたため、汐吉は思わず腕を掴んだ。
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