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第六章 四.
「ねえ、蒼早くん」
「何?」
汐吉、紅乃と別れた沙雪と蒼早は、無事に家に着いていた。
携帯を見ながら蒼早に話しかけ、彼は座椅子に座りいつものようにゲームをしながら答える。
「藤枝さんに考えてもらっている間、何もしないのはどうかと思ったから、富岡八幡宮のウラガミ様候補は誰かなと思って調べていたんだけど」
「うん」
「この事件、知ってる? 三年前にあったの」
「んー、僕はゲームをしてるから、口頭で説明して」
話を聞いていないわけはないが、聞く気はないらしい。
「わかったわ」
それでも沙雪はめげずに、うなずくと携帯の画面に表示されていることを話し始めた。
「富岡八幡宮の近く、門前仲町のコンビニで強盗事件が起きたの。すぐ一一〇番されて、現場に急行した警察官が二人。一人は五十九歳の杉並兼三さん、もう一人が三十歳の布瀬快次さん」
「……で、その事件がどうしたの?」
「この強盗事件の犯人、骨折の大けがをしてるのね」
「うん」
「ということは、この犯人を逮捕した布瀬さん、きっと格闘はかなりの腕前よ!」
「……ちょっと待って」
ゲームを一時停止させた蒼早は、沙雪をにらむように視線を動かした。
「何言ってんの? だいたいピンポイントすぎるでしょ、なんでその人が気になるの?」
蒼早の疑問はもっともで、沙雪はうーん、と困ったように、言葉につまった。
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