第七章 二.

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「……俺は、まだ、迷ってる」 「喰代さんの能力は本物よ。二人助かっている人がいるのだし」 「このまま正式に加入すればよくない? メンバーが一気に二人増えて楽だし」  雑な勧誘だ。汐吉は思わず苦笑いをしたが、それを謝るように首を横にふる。 「いや、あのな、入らないとは言ってないだろう。保留にしているだけ」 「それは入らないっていうのと一緒でしょ」 「入るつもりはあ……」  蒼早につられてそこまで言ったところで、自身がいったことに気付き、ハッとする。 「あ?」 「あ?」  さあ、続きを言え。といわんばかりに、蒼早と沙雪が、ニマニマするような笑みで彼を見ていた。汐吉は諦めて素直に続けた。 「……あるよ。あるけど、今はまだ」 「そればっかり。布瀬、なんか言ってやってよ」 「入らないんすか?」 「アンタは乗らなくていいから」  快次は素直に蒼早の言うことに従う。話の流れもあるが、彼自身楽しんでいそうだ。表情が物語っている。
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