85人が本棚に入れています
本棚に追加
「ま、冗談はここまでにするとして。喰代さん、いつでも言ってくださいよ。歓迎しますから」
沙雪はからかうのをやめて、大人の落ち着きを取り戻したように明るく笑いかけた。
「……おう」
「それから、布瀬さん」
「うっす、姐さん」
「……松浪か沙雪でいいのよ?」
その呼び方では、誤解されかねない。そっちの方に。
「じゃあ沙雪さん。なんすか?」
「あなたに、ウラガミ様の能力があるかどうかを確かめたいの。今度、死気に関する情報が来たら、一緒に捜査にいってくれる?」
「わかりました。あ、でも仕事……」
快次のしている警備の仕事はシフト制になっている。突然休むということは、冠婚葬祭以外ではしたくないのが彼の本音だ。お金は稼がなければならない。
「お仕事優先で大丈夫よ。休日でいいから」
「うっす」
ウラガミとしての能力があるかは、まだ分からないが、すでにそうだと皆が認めているようなものだった。先代のウラガミには、すでに能力がない。だからもし、彼に能力がなければ、また最初からウラガミを探さなければならない。それでも、そうなったときはそれでいい。
―布瀬さんが、ウラガミ様ならこれで三人。喰代さんは実質ヒナゲシ会のメンバーだから、藤枝さんが加わってくれれば、五人になるのだけど……。
五人、つまり半分集まることになる。
十人すぐに集まるとは思っていなかったが、五人であればどうにかなるかもしれない。沙雪は、若葉の加入の連絡を心待ちにしていた。
最初のコメントを投稿しよう!