第七章 二.

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「ま、冗談はここまでにするとして。喰代さん、いつでも言ってくださいよ。歓迎しますから」  沙雪はからかうのをやめて、大人の落ち着きを取り戻したように明るく笑いかけた。 「……おう」 「それから、布瀬さん」 「うっす、姐さん」 「……松浪か沙雪でいいのよ?」  その呼び方では、誤解されかねない。そっちの方に。 「じゃあ沙雪さん。なんすか?」 「あなたに、ウラガミ様の能力があるかどうかを確かめたいの。今度、死気に関する情報が来たら、一緒に捜査にいってくれる?」 「わかりました。あ、でも仕事……」  快次のしている警備の仕事はシフト制になっている。突然休むということは、冠婚葬祭以外ではしたくないのが彼の本音だ。お金は稼がなければならない。 「お仕事優先で大丈夫よ。休日でいいから」 「うっす」  ウラガミとしての能力があるかは、まだ分からないが、すでにそうだと皆が認めているようなものだった。先代のウラガミには、すでに能力がない。だからもし、彼に能力がなければ、また最初からウラガミを探さなければならない。それでも、そうなったときはそれでいい。 ―布瀬さんが、ウラガミ様ならこれで三人。喰代さんは実質ヒナゲシ会のメンバーだから、藤枝さんが加わってくれれば、五人になるのだけど……。  五人、つまり半分集まることになる。  十人すぐに集まるとは思っていなかったが、五人であればどうにかなるかもしれない。沙雪は、若葉の加入の連絡を心待ちにしていた。
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