第七章 三.

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 そこに映っていたのは目をそむけたくなるようなグロテスクなものだった。吐き気を覚えた若葉は、枕に顔を押し付けるようにうつぶせになる。 「ぐっ、う、……」  昼に飲食したものが、のどをせり上がって来そうになる。 ―まずい、出る。  直感で察した若葉は、部屋を慌てて出るとトイレへ向かった。バタンと大きな音を立ててトイレに入ると、機体に顔を向けて、我慢していたものを吐き出した。 「はあ、はあっ……は……」  口から食べたものをまた出す。そんなことを繰り返しているからか、若葉の体重は標準よりはるかに軽くなっていた。口の中が気持ち悪いが、そのままトイレの壁にもたれるように頭を肩をつけた。 「どうして、なんで、ぼくなの……」
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