第七章 三.

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 こんなことが、一ヶ月ほど前から、あのメールのように、いきなり見たくもない画像が送りつけられてくることが続いている。嫌がらせであることは、若葉自身、勘づいていた。  親、特に母親からの圧力に耐えられず発散の場として選んだ歌と、路上ライブという形で歌唱すること。“他の人には許されて自分には許されていない”ことを埋めるかのように選んだものを、なぜ名前も顔も知らない人から抑圧されなければならないのか。 「……死にたいな。もう、生きていても、いいこと、なんにもないじゃん」 ―能力なんて、自分が特別なわけがない。  ヒナゲシ会に入る日など、来るはずがない。  若葉は、涙をこらえるように鼻をすするとゆっくり立ち上がった。 ***
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