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「へえ、休学ね。それは予想外だったな」
「……え?」
「単に、お前が注目されなくなればいいのになーって思っただけだし」
へらへらと彼が笑う。若葉の顔はこわばる。胸の中がざわめき始めた。
「だってさ、俺より外見はよくないし? ちょっと頭はいいかもだけど、うまくもない歌でもてはやされててさ、つまんねえじゃん」
―そんな理由で。
そんな理由で、ぼくを傷つけたの?
若葉は動くことができなくなってしまった。歌いたいのに歌えないときのように、怒りたいのに怒る声が出ない。
どうして、したいことができない。
黙ってしまった若葉を見た館山は、言い返さないのをいいことにさらに口を開く。
「フリーアドレスなら取り放題だもんな。メール、全部見てくれた? ホラー映画好きに聞いて良さそうなのをピックアップしたんだ」
自分に精神的な痛みを与えていたのはコイツだった。
だが、嫌がらせはメールだけではない。SNSでもなんでもあった。
「……メールは、館山くんが……?」
「ああ。メール以外はやってねえぞ? SNSのも見たけど、あれは俺じゃない。かわいそうだなあ、藤枝。俺だけじゃなくみんなから嫌われちまってさ」
母親にも、きっと。
若葉は思わず、館山につかみかかった。襟元をつかむ。
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