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「おまえっ……、ぁっ」
しかし、館山はあっさりとその手を払いのけた。健康な彼にとって、異様に細くなってしまった若葉の手は非力なものだった。
「きもちわりぃ手でさわんな」
何かがはじけた。
気付いたときには、若葉の右手は彼の左頬を殴り飛ばしていた。
「ってえ!」
後ずさりながら、館山は頬に手をあてる。
「藤枝、いい度胸してんな」
「うるさい、うるさい!」
今度は館山が若葉を殴ろうとしたとき、その腕を華奢な女性の腕がつかんだ。
「っ、な」
「それ以上はやめておきなさい」
眼鏡の奥の瞳は笑っていないが、口元は笑みながら沙雪が言う。
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