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第八章 一.
週末の日曜日。なんてことはない日のはずだったが、一本の電話で変わることとなる。
「ん~……、ん? 電話……」
朝の九時。布団の中でもぞもぞと動いた汐吉は頭をあげた。階下、つまり店に置いている電話から音がする。
「やっぱり子機を買うべきかな、ふああ……」
あくびをしながら起き上がると、寝間着姿のままで階段を下りる。この時間に電話が来るくらいだから、店ではなく自身へ用事がある人かもしれない。そう思いながら電話を取った。
「はい、喰代……」
『……おはよう、ございます。藤枝です』
「ふじ……藤枝さん? あ、え、おはよう……」
思いもしない人の名前を聞いて、汐吉の目は一気に覚めた。
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