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電話を切った汐吉は一度自室へ戻ると、とりあえず手近にあった服をつかみ着替える。そうしてバタバタと駆け降り、店の入り口へ向かうと鍵をあけて開いた。
「おはよう、待たせて悪いな」
「いえ……」
若葉は律義にお辞儀をする。やはり、今日もギターは持っていないようだった。
「すみません、朝から」
「いや、いいよ。どうぞ」
「ありがとうございます」
若葉を店内に入れるものの、オープンにするわけにもいかないので、ドアにかけているクローズにしたプレーンは変えないまま彼に続いて店内に入る。
「好きなところ座れよ」
「なら、カウンターでもいいですか」
「ああ」
若葉はカウンター席全体を見ると、真ん中に座った。汐吉はカウンターの中へ入り、エプロンをつける、慣れた手つきでカップとお皿を取り出す。
「こんな格好で悪いな」
「いえ。それ、部屋着ですか?」
「ああ、服を全部洗濯してなくて良かったよ。朝食は?」
「まだです」
「コーヒーでいいか」
「作ってくれるんですか?」
「ここは喫茶店だぞ? 簡単なのならできる」
もっとも、モーニングセットみたいなものはなく、軽食は簡単なものしか用意できない。だが、食パンをトースターにかければトーストはできるし、ミニサラダも野菜を切れば作れる。
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