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「死にたいと思う人が悪いんじゃない」
どうぞ、と彼の鋭い視線と、それには不釣り合いな気遣うように優しく動かされるソーサーに乗ったコーヒーカップがコトンと若葉の前に置かれた。
コーヒーからは湯気がのぼっている。よく考えれば、夏が終わったっていう頃なのにホットコーヒーっていうのも馬鹿らしい。まだ暑さは残っているのに、自分から暑くなりにいってどうするのだ。
そんな思いとは裏腹に、若葉のうつむいた顔からポタポタと雫が落ちた。
「……っ、う、え、ぐっ……」
だから、この涙は、あまりにも暑くて、コーヒーの湯気がしみただけなんだ。
「誰が藤枝さんを泣かせてるんだ。追い込んだのは誰なんだ」
「うっ、ひく……、どうきゅ、せい……」
「同級生?」
「あと、は、ははお、母親が……」
「ああ、さっきのか……」
―同級生と母親。外も中も敵ということか。
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