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第八章 三.
日曜日でも、編集者に休みはない。ということで、明坂瑞樹は二俣侑斗に紹介された仕事をするべく、東京都北区に来ていた。
「じゃあ天芽ちゃん、ここでいいかな」
「はい……」
連れてきていたのは、品川神社で巫女のアルバイトをしている洲崎天芽。十六歳の女子高生だ。長い黒髪はいつものように後ろで一つに結い、巫女服姿で歩く。
―やだなあ、コスプレしてるって思われちゃう。
本当は、品川神社以外の場所では巫女服なぞ着たくないのが本音だった。しかし、これは仕事。なぜか分からないが、特集を組みたいといわれ、親が勝手に了承してしまったのだ。それで仕方なく、日曜日だというのに朝からわざわざ北区へと来ていた。
天芽は瑞樹から依頼されて来ているが、瑞樹は侑斗が名刺を見せてくれた写真家の“松浪沙雪”が天芽の特集記事を求めていると信じていた。
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