第八章 三.

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「こっちまで来るとやっぱり人は少ないねえ」 「そうですね……」  カメラ片手に瑞樹がつぶやく。天芽もうなずきながら、二人は王子神社の横側にある道を歩いた。 「ん? 喫茶カンテラ……こんなところに喫茶店があるんだ」  夜しか営業しないうえに土日は定休日で休みだ。店内には人影があるものの、よく見えない。 「雰囲気が良さそうだから寄ってみたいなあ」 天芽は通り過ぎながらぼやく。 「ん、こっちみたいね。天芽ちゃん、早速ここでとっちゃおっか」 「は、はい」  草履なので走ることは難しく、瑞樹の指示した場所へやや早足で向かう。
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