第八章 三.

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『喰代さんがヒナゲシ会に入るって! これで大きく進展したのよ。メンバーは五人になるし!』  電話の前から離れているのか、蒼早に向けての大声が響く。 「……松浪さん、こういう人だから。頼りすぎないように」 「えーと……素直でいいと思いますよ」  沙雪が聞いていないのをいいことに、好き勝手に話す。電話口に彼女が戻ってきたようだ。 『よかったわ、ヒナゲシ会はお二人を歓迎します!』 「どうも。じゃあ近いうちに藤枝さんも連れてそこに行くか」 『そうね、二人の都合のいい日を教えてちょうだい。布瀬さんの件もあるし』 「ああ。……藤枝さん、松浪さんとこにはいつならいける?」 「え? 挨拶くらいなら今日でも大丈夫ですよ」 「お、そうか。……今日、夜は平気か? あー、夕方前には行けるかもしれないけど」 『あら、いいわよ。そっか、お店はお休みなんでしたね。お待ちしてます』 「ああ。じゃ、また後ほど」 『はぁい、よろしくお願いしますね』  明るい挨拶をかわし、電話を切る。 「松浪さん、優しいですよね」 「ちょっと抜けてるけどな。出会いこそすごかったけど、いい人だ」 「出会い?」  若葉のオウム返しな質問に、はたと思い当たる。もうずいぶん前に沙雪と出会った気でいたが、まだここ数週間での出来事だ。厳密にはもっと短い。 「……話してやろうか。俺と松浪さんが会ったときのこと」 「はい、聞きたいです!」  彼女との出会いから、汐吉のその後はだいぶ変わりはじめていた。
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