第九章 一.

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第九章 一.

「じゃあ天芽ちゃん、本殿前で撮りましょうか。許可はもらってるから」 「はい」  瑞樹と天芽は、本殿前へ場所を移し撮影をしようとしていた。そこに居合わせた、紅乃と亜子。 「これじゃ本殿の写真とれないね」  そう言い始めたのは亜子だった。 「あとでもとれるよ。あっち見よ!」 「そうだけど……紅乃ちゃんは優しいね」  それに突っかかるように言い返したのが天芽だった。 「ちょっと、その言い方やめてくれない?」 「あれ、聞こえちゃった? ごめんねえ、気にせずにどうぞ」  あからさまに聞こえるように言っているにもかかわらず、聞こえないように言ったのに、という素振りが気に入らなかった天芽はついに亜子へ歩み寄った。
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