85人が本棚に入れています
本棚に追加
第九章 一.
「じゃあ天芽ちゃん、本殿前で撮りましょうか。許可はもらってるから」
「はい」
瑞樹と天芽は、本殿前へ場所を移し撮影をしようとしていた。そこに居合わせた、紅乃と亜子。
「これじゃ本殿の写真とれないね」
そう言い始めたのは亜子だった。
「あとでもとれるよ。あっち見よ!」
「そうだけど……紅乃ちゃんは優しいね」
それに突っかかるように言い返したのが天芽だった。
「ちょっと、その言い方やめてくれない?」
「あれ、聞こえちゃった? ごめんねえ、気にせずにどうぞ」
あからさまに聞こえるように言っているにもかかわらず、聞こえないように言ったのに、という素振りが気に入らなかった天芽はついに亜子へ歩み寄った。
最初のコメントを投稿しよう!