第九章 一.

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「私は仕事としてここにいるの。のんきにお友達としゃべっているあなたとは違ってね」 「へー、かわいそう。ゆっくり休んだ方が身のためなんじゃない?」  この時点で、紅乃と瑞樹が二人をハラハラした気持ちでみていたのは想像にかたくない。 「亜子ちゃん、どうしちゃったの?」 「天芽ちゃん、先にあっちの木の近くで写真とりましょ。ね」  そう声をかければ、 「どうもしないけど?」 「嫌、ここで撮る。せっかく本殿の前こんなにきれいなんだよ」 と、互いに反抗するような返事をしてしまう。  そんな調子で、一切歩み寄らないまま、先に手を出したのが亜子だったという。 ***
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