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「それでなんでこうなるんだよ」
「その、女の子がこう……言葉にできないうめき声っていうんですか? をあげはじめて、天芽ちゃんを平手打ちしたんです。そして怒った天芽ちゃんが、左手で地面に突き飛ばしてしまって……」
話だけを聞けば、子どもがする喧嘩のようなものだが。
ちら、ちら、と汐吉は亜子と天芽の様子を見る。変わらず、二人は黒い煙に包まれている。
先ほどの若葉の話や、快次、蒼早、そして自分自身。総合して考えたときに共通するのは、“過去に何かあった人”だ。死気のせいかそうでないかは、ともかくとして。
そういえば、と汐吉は思い出す。
――『うつ病は治せますが、死気は喰代さん以外には、治せません』
――その表情は、これまで彼女が見せていた穏やかなものでも、ほがらかなものでも、慌てたようなものでも、どれにも当てはまらない、いうなれば自身が殺人事件の当事者になってしまったかのような、神妙な面持ちだった。
沙雪がああいっていたこともあった。彼女も、うつ病患者だったのだろうか。
であれば、共通点が“過去”にあることは、意外と間違いないのかもしれない。
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