第九章 一.

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「汐吉さん!」 「若葉! 見てくれ、あの二人」 「はい……?」  バタバタと足音を立て、携帯を片手に、店に来た時は逆に元気になったらしい若葉が駆け寄る。 「二人とも死気をまとっているのがわかるか?」 「は、はい、確かに……マツさんと似てる」 「ああ。特に、あの巫女が重症かもしれない」 「ぼくはどうしたら……あっ、携帯、松浪さんに電話つながってます!」  戸惑いながらも、携帯の画面を汐吉に見せる。そして沙雪の 『もしもーし、松浪です!』 という大きな声も聞こえてきた。 「テレビ電話にして、あれをうつせ。見えるかはわかんねえけど」 「分かりました!」  若葉は画面を操作し、カメラを起動させると、二人が画面におさまる位置に移動する。
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