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「ダレダ キサマ」
「喰代汐吉。アンタは?」
「ワタシ アマメ ジュウロクサイ……」
「十六? じゃあ高校生か。大変だな、こんなことになって」
「ホントだヨ……ほんとうにそう……すきでみこをしているんじゃナイのに……」
―今だ。
黒い煙はいまだ消えていないが、彼女が落ち込んだように地面を見た。その隙を見逃さず、一気に走って距離をつめる。
「っ、ナニ!」
「お、らあ!」
左腕を突き出してきたのを、携帯を持っていない右手で受け止め流す。天芽がバランスを崩しそうになったところで、腰回りを強く抱き寄せた。
「ア ウア、ヤメッ……」
黒い煙が濃くなる。それに構わず汐吉は携帯のカメラを彼女の目に向けた。
「どうだ!」
『赤茶色なら成功だよ、移動範囲は誰かの腕の中に制限した』
蒼早の言葉をきいて、取り押さえるのに必死な汐吉は携帯を放り投げ、彼女の両頬を両手でつかみ、のぞき込むように顔を見た。瞳は赤茶色だ。
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