第九章 二.

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―「私、死んじゃうの?」 ―「大丈夫です。ウラガミ様がいるから」 ―「ウラガミ様?」 ―「とても頼れる、方々が」  亜子の手を両手で包むようにして握る。彼女はようやく、泣くのをやめた――。 「はっ」  急に色彩のある世界に戻った若葉は息をのんで周囲を見る。 「若葉、よくやった」 「え……」 「浄化、できたぞ。金崎さんの目があいたんだ」 「う……」  汐吉が言うと同時に、亜子がうめく。見れば、黒い煙は見えなくなっていた。
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