第九章 三.

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 ところ変わり、病院。汐吉、若葉、瑞樹、紅乃は疲れた様子で椅子に座っていた。 「待たせたな」 「真菅……!」  真菅が病室から出てくる。そこは、天芽と亜子が運ばれた部屋だった。 「二人は診断の結果、異常なしだ。明日には退院できる。今日は安全のために入院するということになった」 「そっか、よかった……、いやよくはないけど、よかった」 「そうですね」  若葉もうなずく。一時はどうなることかと思われたが、ひとまず落ち着いた。 「しかし、災難だったな。明坂さん、でしたっけ」 「ええ、あってるわよ。死気? っていうのね、今度同じようなの見たら真っ先に喰代さんに連絡します。ああいうのを相手にするって大変ねえ」  天芽のことで迷惑をかけたと思っているのか、気まずそうに謝りながら息をついた。 「はぁーあ、二俣くんに頼まれる仕事って、ろくなことがないなあ」  ぼそっと瑞樹がいったそれに、汐吉は耳を疑った。
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