85人が本棚に入れています
本棚に追加
ところかわり、病院の前、明坂瑞樹。彼女は途方にくれたようにバス停のベンチに座っていた。
「あれっ、明坂さん……でしたっけ」
通りがかったのは、和氣紅乃だ。現在は午後五時、退院は午前中に終わっており、亜子と別れた彼女は帰り道で通っただけだった。
「あら、どうもぉ……ふへ」
「ど、どうしちゃったんです?」
心配した紅乃が小走りで駆けよる。瑞樹は力なく、首を横にふった。
「なんでもないのよぉ」
「でも、そうは見えませんよ。今日はもう駅直通のバス終わっちゃいましたから、あっちのバス停なら、まだ……」
「ただぁ」
「……ただ?」
最初のコメントを投稿しよう!