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「……和氣さん、ハ、シオキチのダイジなヒト……」
「え?」
よく聞き取れず、瑞樹の口元に耳を近づける。次の瞬間、首に瑞樹がかみついた。
「なっ、っ!」
驚いた紅乃が飛びのくように後ずさる。首の後ろがジンジンする。何かに叩かれたような痛み。噛まれたのに、ここまであとをひく痛さとは?
「あ、明坂さん、なん……」
「オイデ」
「や……、あっ」
拒否しようとしているのに、体が動く。足はゆっくりと、瑞樹のほうへ近寄る。そして、彼女が手を掴んだ。
「つかまえた」
「え……?」
どういうこと?
そう聞こうとしたが、紅乃が瑞樹を見たのはその光景が最後だった。
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