第十章 三.

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『はい。真菅さんから、捜査の要請です』 「はぁ。どんな?」 『殺人事件です。詳しくは直接お話しますから。待ってますよ!』 「え?」  プツッ、とすぐに電話が切れる。ツーツー、という意味のない音を出す受話器を見ながら、 「なんなんだよ」 とだけ言って、汐吉も電話を切ると、仕方なく準備をはじめた。 ***  路線を調べ、なんとかヒナゲシ邸にたどり着く。  汐吉が一人で来るのは初めてだった。紅乃と来た時は、彼女に任せっぱなしだった。 「ようこそー、喰代さん」 「どうも」  インターホンを鳴らすと、すぐに門が開かれる。汐吉が門をくぐると、自動で閉まった。屋敷そのものは古いが、機械から見て門は新しそうだった。
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