第十章 四.

2/9
前へ
/345ページ
次へ
―確かに、ドラマで刑事が地図を広げてやんややんや話をするシーン、見るなあ。 「門前仲町はここです。昨日の夕方、このコンビニの近くで殺人事件が発生しました。すぐ通報されて、調べたら防犯カメラに三人うつっていたの。画像……は写真でどうぞ」  ドラマみたいにスクリーンや黒板があるわけもなく、あらかじめ印刷しておいた写真を全員に配る。 「一枚目は被害者Aさんです。二枚目が加害者と思われる男性のBさん。顔がばっちり映っています」 「……え? なら捜査する必要はないんじゃないのか」 「そうっすよ、犯人分かってるじゃないっすか。この人、包丁もってっし」  確かに、二枚目の写真にうつっている男性は、包丁をしっかり握っている。刃先は被害者の方へ向いていて、返り血がついているのも遠目でも分かるほどだ。 「いやいや、問題は三枚目です。見てください、顔は見えないけど、誰かが包丁を奪い取っていますよね。そして四枚目、被害者を刺した容疑者をこの人、Cさんが刺しています」 「……んん? あー、そう、だな……」
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加