第十章 四.

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「つまり、AさんをBさんが刺し、BさんをCさんが刺したんです。これは大変にマズイ事件なのよ。一晩で二人が、しかも映像に残っちゃってる場所で発生してる。間違いなく、治安が悪くなっています」 「前からじゃない?」 「蒼早くんは静かに!!」  ノってきた沙雪に蒼早がつっこもうとするも、彼女はそのまま突き進む。 「治安が悪くなると、“死気”が発生しやすくなるの。これは母からの情報よ、先代ウラガミ様の言う通りだから間違いないわ」  なるほど、ここまで聞いて汐吉にもようやく見えてきた。  普通の事件ならば、ヒナゲシ会の出番はない。“死気”が関係しなければ、ヒナゲシ会は捜査をする必要はなく、真菅だって要請しない。 「手掛かりはこの写真……つていうか、防犯カメラの映像だけ?」 「そう。包丁はこのCさんが持っていっちゃったみたいで。他のルートにうつっていないかは調査中だけど、望みは薄いわね」  沙雪の答えを聞いて、汐吉はほぼ、確信した。 「なるほど、だいたい分かった」 「あら、本当?」
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