第十章 四.

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「ああ。つまり、これ以上治安が悪くなると死気が頻発する可能性があるから、Cさんを捕まえたい。しかし手掛かりがこれしかない。そこで、もしCさんが、死気が原因でBさんを殺したのならヒナゲシ会の手助けがいるから捜査に加われ、そういうことだろ?」  静かに聞いていた沙雪は、目をキラキラさせた。 「そうです! 喰代さん、よく分かりましたね!」 「僕も分かってたし」 「オレは全然。さすがっす、兄貴!」 「兄貴はやめて」  兄貴呼びには慣れていない汐吉はやんわりと拒否する。蒼早は写真をまじまじと見つめた。 「調べるのはいいけど、これじゃ男性か女性かも分からないんじゃないの?」 「そうなのよ。だからさっきも、三人がうつっていた、っていったんだけど」  三人うつっているのは確実だが、性別までは分からない。靴は男女ともに履いていそうなスニーカーだ。量産品の。 ―二俣くんの靴ではないな。  沙雪を利用して、天芽と亜子を引き合わせたと思われる彼がやったのかと思ったが、靴は違っていた。
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