第十章 四.

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「喰代、どうしたの?」 「いや……、二俣くんなら、説明がつくのにな、と。靴はいつも見てるものとは違うから、断言はできない」 「ああ……。まあ、靴なんて二足や三足あるだろうし、いらなかったら捨てるだろうね」 「警察ならすでにその可能性を考えて捜査しているだろうま。俺たちは、警察ができないことをしないといけないんだろ?」 「そうなんだけどねぇ」  汐吉の至極まっとうな感想に、うーん、と沙雪が困ったようにうなる。 「“透視”はいないから死気を追うことはできないのよ。どうやって探す?」 「他に探せるような能力はないのか? あ、どこのウラガミか分からないんだっけ」 「そうなんだけど、ちょっと待って。他にある能力は分かってるから」  そういうと沙雪がいつも持っている鞄から紙をひっぱりだした。枚数が増えすぎて、最近は二穴ファイルにとじるようにしている。 「今まで見つけたのが、“拘束”、“移動”、“浄化”、“傾聴”、“戦闘”でしょ」 「オレはまだわかんねっすよ」 「いいのよ、とりあえずだから」  そう、快次は次のヒナゲシ会の捜査でウラガミかどうかを確かめるということになっていた。
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