第十章 四.

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「それで、他は……、“透視”、“天候”、“補助”、“耽読(たんどく)”、あと“統率”ね」 「……天候、補助、耽読、統率? なんだそれ」 「透視以外、能力の名前と想像できる内容に関連性がないように思えるね」 「蒼早は、名前は知ってたのか?」 「最初に聞いたから。でも、今の今まで忘れてた。僕の脳はゲームのことでいっぱいだからさ」 「……あっそ」  二人が話をしている間に、沙雪が手近にあったメモ用紙にそれぞれの能力名を書いていく。 「透視、天候、補助、耽読、統率。この漢字を書くの」 「たんどくって一回で読めないっすよ」 「今覚えろ、今」 「うっす」  快次は汐吉に言われた通り、紙に穴が開きそうなほど見つめる。 「でね、この五つの能力がどの神社なのか分からないっていったこと、覚えてる?」 「ああ」 「それは、母の代で一度も使われなかったからなのよね。だから、あってもなくてもいい能力なんじゃないか、と私は思うんだけど……」 「え? あんなに透視を求めてるのに」 「母の代のときは、死気はそんなに出なかったそうだから。治安がいい、とも、違うとは思うけれど……」  透視の能力を使うまでもなかった、ということだ。
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