第十一章 一.

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「それに、蒼早は未成年だ。一人にしない方がいいんじゃないか?」 「失礼だな。僕は一人でも平気だよ」 「でも、布瀬さんや俺より力は弱いだろ?」 「そういう意味では藤枝も一人にできないんじゃないの? 彼、喰代より細いし」  蒼早を低く評価しているわけではなく、純粋な心配、気遣いからそういったのに、少々機嫌を損ねてしまったようだ。口を尖らせてすねるような態度は、やはりまだ“子ども”であることを思い出させる。いや、大人ならそうしないかというとそうでもないが。 「わかった、わかったわ! 四人もやめて、二手にわかれましょ。それならいいわね?」 「……どうやって分けるんだ?」 「そうね、まず、私と喰代さんは別々でしょ」 「ああ、そうだな」  ウラガミであり、成人済みで、かつそれなりに責任の伴う行動ができる大人はこの二人だ。 「布瀬さんは……喰代さんについていってもらおうかしら。だから、蒼早くんと藤枝さんをどうしようかなんだけど……」 「蒼早はどっちについていく?」 「どっちでもいいけど、沙雪にしようかな。頼りないから」 「何よー、その言い方」  言葉のわりには、それほど怒っているような様子でもなく逆に苦笑いを浮かべている。
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