第十一章 一.

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「若葉は“傾聴”だからな……、布瀬さんの“戦闘”が本当だったら、若葉はそっちのほうがいいかもしれない」  快次が富岡八幡宮のウラガミならば、例えどんなに暴れる“死気”が憑いてしまった人でも戦闘により圧倒することが可能となる。  対して、沙雪や蒼早は移動をとどめることができる。傾聴をするには相性がよさそうな能力の組み合わせのように思われた。 「分かった。なら、私と、蒼早くん、藤枝さんのチームと、喰代さん、布瀬さんのチームに別れるってことね。みんなはいい?」 「いいよ」 「了解っす」 「じゃあ、見回る範囲を決めないといけないわね。うーん……東京って結構広いのよねえ」 「……もし東京から出てたら無理だな」 「そうじゃないことを願うの!!」  汐吉のひとりごとに、沙雪が反応する。自分のぼそっと発したことが拾われるとは思っていなかった汐吉は苦笑いでごめん、と謝った。
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