第十一章 一.

4/5
前へ
/345ページ
次へ
「基本、生活範囲の外に行った方がいいのかしら。蒼早くんはどう思う?」 「……少なくとも、この近辺はないだろうから、僕たちは普段行かないところのほうがいいかも」 「となるとー……新宿とか?」 「西のほうになるね」  うん、とうなずいて答える。神田橋に近いここは、周囲にビルが並び、オフィス街があるかと思えば皇居も近い。もし死気が現れるにしても、例えば歌舞伎町に比べれば可能性は低いだろう。 「じゃあ、えーと、新宿区、中野区……あたりね。喰代さんたちはどうします?」 「まあ、南になるだろうな。布瀬さんは?」 「南側はあんまりいったことないっす。警察官のときもっすけど、今も現場は家から近いんで」 「となれば……南っていうと、港区、品川区あたりか。松浪さん、東京十社の印をつけた地図、持ってますか?」 「ええ、もちろん! どうぞ」  沙雪がサッと赤丸がついている地図を差しだす。受け取った汐吉は、パラ、と軽い手つきで広げた。
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加