第十一章 一.

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 机の上に広がる地図と交互に見ながら、行くかもしれない場所を確かめる。紅乃はもう行ったことがあるかもしれないが、汐吉は記憶の中ではそう何度も立ち寄っていなかった。 「……あれ。新宿とかの方には、東京十社の神社ないんだな」  二つの地図を見比べていた汐吉がぼやく。西の方には赤丸がほぼない。 「ええ。港区には氷川神社と、品川神社があるわね。私がウラガミを務めている芝大神宮もそうだし」 「姉御、日枝神社って赤坂の近所じゃなかったっすか?」 「ええ。近いけれど区は違うのよ。千代田区になるから……、そうだわ」  快次のふとした疑問で、あることをひらめく。四方八方に散らばるのも、死気を探す手段のひとつだが、もうひとつあったことを思い出した。 「まだウラガミが見つかっていない神社に行けばいいのよ!」
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