第十一章 二.

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第十一章 二.

 まだウラガミがはっきりしていない東京十社に該当する神社に行けばいい――という沙雪の提案に、全員がきょとん、としたのはいうまでもない。 「……え?」  ようやく汐吉が一言、発した。 「だって、よく見て。氷川神社も、品川神社も、日枝神社も、まだウラガミが見つかっていない神社ばかりよ。残り二つは根津神社と神田神社ね」  根津神社は文京区、神田神社は神田明神と呼ばれ、千代田区に存在する。 「……確かに、その五つはまだ見つかっていないけど……、どうしてそれが死気を探すのに効果的だと思うんだ?」 「……これは、言おうか迷っていたのですが」  すす、と正座をしなおした沙雪が皆々の顔をゆっくりと見渡す。
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