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「亀戸天神社に行って、藤枝さんに会った時のこと、覚えていますか?」
「ああ。松ヶ枝さん、だったか、が死気に憑かれていたな」
「はい。布瀬さんにもその話はしていますよね」
「聞いたっす」
「私がへましてしまった時のことなんですけど、松ヶ枝さんが言ったんです。“ウラガミ”って、はっきりと」
その意味が分かる蒼早は、眉をひそめた。汐吉と快次は互いの顔を見て、首をかしげる。
「それのどこが……」
「死気がウラガミを認識している。ということ?」
「その通りよ、蒼早くん」
松ヶ枝に憑いてしまった死気を浄化しようとしたとき、彼は確かに言っていた。
――『グ、ガ、ウラガ、ミ、ナン、デッ』
そもそも、死気というのは“妖”ではあるが、“病気”でもある。言葉はおろか、話すということもないはずだった。少なくとも、沙雪は先代の母から、そのような事例があったとは聞いていない。
だからこそ、あの時は思わず考え込んでしまった、というわけだが。
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