第十一章 二.

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「……そういえば、あの、洲崎天芽っていう子もしゃべったって聞いたな」 「あら、先日の?」 「ああ。俺はその時はいなくて、明坂さんから聞いた話だけど。言ってなかったか、悪い」 「いえ、大丈夫よ。……ただ、死気の性質が変わってきてるっていうことは、はっきりしたかもね」  真剣な表情でつぶやく。 「姉御、性質が変わる……と、どうしてウラガミを探すってことになるんすか?」 「そうね、分かりやすくいうなら……。もし死気がウラガミを意識しているなら、私たちから逃げるのではなく逆に、“ウラガミになれる人”に死気が憑いていると考えることはできない?」  沙雪の問いに、快次は分からない、というように首を傾げる。汐吉と蒼早は、ほぼ理解できたようで、あぁと小さく声をもらしてうなずいた。 「ウラガミをやめさせる、というか……生み出さないために、だな」 「そうよ」  汐吉たちが“ウラガミ様候補”に接触する前に亡き者にしてしまえば、彼らは“ウラガミ様”を集めることができなくなる。死気にとっての脅威が一時的であれ、減るということだ。
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