第十一章 二.

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「じゃあ、私と蒼早くんは、藤枝さんの都合を聞いてからいつ行くか、決めましょう」 「分かった。言うまでもないと思うけど、僕はいつでもいいから」 「ええ。それじゃあ、今日はこんなところかしら?」  沙雪が顔をあげ、皆のほうを見る。大方、今後の方針と、それぞれ神社に行く、という形で話は終わった。  あー、と背伸びをした汐吉は、あることを聞こうと思い立ち、彼女に話しかける。 「なあ、松浪さん。もし、ウラガミ様っぽい人を見つけたらどうしたらいいんだ?」 「え? そうねえ。とりあえず写真をとりましょ! ついでに名前もきけたらいいのだけど」 「……そう簡単に教えてくれるかよ」 「そうよねえ。一応、警察関係者だけど公務員ではないし……簡単に真菅さんの名前を出すのもどうかと思うのよね」  一応、彼らの上司は真菅警視正、その人だ。だが、誰にでもその名前をいいふらすわけにはいかないし、ウラガミ様だと確信を持てる人にしか言いたくないのが事実だった。 「というか、連絡先が交換できたらいいのだけど……、相手がみんな名刺持ってるとは限らないじゃない?」 「確かに」 「かといって、電話番号教えて、なんて初見じゃ難しいわよ。ナンパになるでしょ。警戒心が強い人ほど教えてくれないだろうし」 「ナンパねぇ……」
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