第十一章 二.

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「……ないよりはいいんじゃね?」 「そうですけど……、メンバーチェンジしましょうか。私が喰代さんと一緒になれば名刺を持ってる人は半分にできますから」  そこまでいったところで、自分が先ほど言ったことを思い出したらしい彼女は、むむ、と眉間にしわをよせた。 「だめね、それだと三人のチームが心配だわ……」 「……どっちかの名刺を借りるか、蒼早と布瀬さんを変えるか、じゃないか?」 「本人の名刺でないと、信用されない可能性があるわよ。拾い物を使われたと思われるのは嫌でしょう?」 「それは、まぁ」 「……ねぇ、蒼早くん。布瀬さんと変わってくれる? さっきのチームの話」 「は?」  沙雪からのお願いに、あからさまに不機嫌そうな顔をする。 「え、えっ、姉御? それはちょっと……」  さすがの布瀬でも、その理由に心当たりがあった。対する汐吉は、なぜ嫌そうな顔をするのか不思議そうにしている。
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