第十一章 二.

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「……俺の意見は無視か」 「おや、反対なのかい? 喰代は布瀬のほうがいいのかな」 「いや、俺は誰でもいいよ。ま、そういうことならよろしく、蒼早」 「ああ。足手まといにならないでよ」 「お前こそな」  蒼早の物言いはいつものことで、その言葉はまるで父親を彷彿とさせるものではあったものの、彼なりの仲間へのはっぱをかけるものだと思えば、さほど気にはならないものだった。 「ついでに、もう行く日決めとくか」 「いいね。僕はいつでも」 「午前中でも?」 「……できれば午後がいいな。週末」 「……だろうな。じゃ、土曜日はどうだ」 「いいよ。喰代も朝に弱くてよかった」 「今日みたいに起きようと思えば起きられるんだよ」  その応酬も、いつものこと。二人のそんな様子を、沙雪と快次は笑いそうになるのをこらえながら見ていた。
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